白と黒
作品年代:昭和35年10月11日〜昭和35年11月7日
作品場所:日の出団地、渋谷、池袋、原宿、新橋
作品粗筋:都内の新興団地、日の出団地で横行する怪文書である少女が自殺未遂を起こす。そして、緒方順子と知り合いだった金田一耕助は怪文書捜査と亭主の緒方達雄の行方の依頼を受けて日の出団地に赴くが、そこで発見されたのは顔をメチャメチャにされた洋裁店『タンポポ』のマダムだった。
依頼主:緒方順子、日疋恭介
成功報酬:日疋恭介の依頼が追加であったため多額の報酬とみられる。
登場人物
- 双眼鏡を持って立っていた男……S・Y先生と同じ付近に立っていた謎の男。
- 須藤(旧姓:緒方)順子……西銀座のクラブ『スリーX』でハルミという名前で働いていた女性。亭主が失踪したので金田一耕助を日の出団地に連れてくる。『タンポポ』で洋裁を習っていた。10月10日の午後8時30分ごろに『タンポポ』に怒鳴り込む。
- 戸田京美……9月17日に受け取った怪文書、『レディース&ジェントルマン』で、9月21日に自殺未遂した少女。「処女膜を調べてみろ」というえげつない脅迫状だった。片桐恒子の一番弟子。10月10日午後9時少し前から9時過ぎまでの15分間ほどミシンを踏みに来ていてマダムの生存を確認している。
- 須藤達雄……順子と結婚した夫で保険外交員。怪文書『レディース&ジェントルマン』の件で憤慨し、「犯人を突き止める、タンポポのマダムのところに行く」と家を出たまま失踪し、殺害される。
- 日疋恭助……Q製薬会社の重役で順子のパトロン。まだ切れていないため、怪文書のネタにされる。
- 片桐恒子……『タンポポ』という洋裁店の女主人。20号棟のダスターシュートの下でタールで顔をめちゃめちゃにされたとされている。殺されたのは洋品店の2階の居間。彼女の写真は一枚もなかった。
- 佐山豊……日の出団地20号棟の工事を請け負っていた高柳組の現場監督。
- 藤野……高柳組の屋上塗装の責任者。
- 根津伍市……17〜18号棟の管理人で、帝都映画の重役・渡辺達人と懇意で帝都映画の台本を作っている。各棟の万能鍵を持っている。京美の怪文書を管理していた。麻薬常習者。
- ジョー……根津が飼っている烏。もともと映画撮影用の鳥だった。
- 根津由起子……根津伍市の娘で中学1年生。画家の水島に絵を習っている。
- 榎本謙作……17号棟に住んでいる役者の卵。根津か推薦して帝都映画の演技研究所に身を置いている。10月10日午後10時ごろに団地の入り口で須藤達雄を見かけている。京美を中傷する怪文書を受け取っていた。
- 榎本民子……謙作の母。由紀子を一時的に預かる。
- 三島……榎本が役がついた映画『波濤の決闘』の主役俳優。
- 町田容子……榎本が役がついた映画『波濤の決闘』のヒロイン。
- 岡部泰蔵……17号棟に住む高校の教師。戸田京美の義理の伯父で一緒に住んでいる。内職で虎の巻を作っている。柔道三段で柔道部の部長。兵庫県姫路出身。立花から東邦石油に来ないかと誘われている。
- 河村松江……『タンポポ』の通いのお手伝い。伊丹のスパイでもあった。10月10日の午後8時10分ごろに『タンポポ』を出ている。
- 宮本タマキ……高校を中退し『タンポポ』で洋裁を習っている。京美と同学年。水島画伯から片桐恒子宛の手紙の文使いをしていた。15号館に住んでいる。
- 伊丹大輔……この地域の大地主で団地に隣接する商店街の家主。三多摩地方での賭場の常連と言われている。マダムの片桐を狙っていたが振られ、正体を暴こうとしていた。
- 姫野三太……帝都映画の3枚目役者。榎本謙作と演技研究所の同期。15号館に住んでいる。8月6日(日曜日)に相模湖で恒子の写真を撮ろうとして恒子に怒られている。京美を中傷する怪文書を受け取っていた。
- 尾崎竜太郎……片桐恒子が『タンポポ』を開くために保証人になった男の名前。江東区亀戸町5丁目にすんでいると記載されていた。
- 水島浩三……ルパシカスタイルのジャンパーとマドロスパイプがトレードマークの気障な画家。戦前は竹下夢二張りの人気を誇っていた挿絵師だったが、戦後落ち目になっている。片桐恒子に興味をもっており、ラブレターを出したこともある。恒子から洋雑誌を借りており、恒子の似顔絵を書いていた。10月10日は虎ノ門の紅葉館で挿絵画家連盟の出版記念会に出席している。
- 謎の紳士……片桐恒子と横浜のホテル『臨海荘』で密会していた謎の紳士。
- 宮本寅吉……タマキの父親で経堂の極楽キネマの支配人。以前は上野の映画館の支配人をしていたが左遷された。怪文書を受け取り、妻が水島画伯といい仲になっていると思い嫉妬し、夫婦喧嘩に及ぶ。
- 宮本加奈子……寅吉の妻でタマキの母親。水島画伯といい仲になった振りをしている。10月10日にお峰と一緒に新橋演舞場に観劇に行っている。
- お峰……加奈子の友人で、上野で美容院を開いている。
- F君……『タンポポ』の一つおいた隣の理髪店に勤める職人。伊丹が犯行当日の夜10時前に『タンポポ』に訪れたことを証言している。
- 岡部梅子……岡部泰蔵の先妻。中学の校長をしており、岡部は頭が上がらなかった。立花と密談をして岡部の処遇を決めていた。他界している。
- 白井寿美子……岡部泰蔵と付き合っている教師。岡部の先妻が校長をしていた学校に勤めている。
- 立花隆治……東邦石油の社長。兵庫県姫路出身で岡部泰蔵とは柔道部で二年後輩。また、兵庫出身の民民党の一柳忠彦代議士を応援している。岡部に東邦石油に来ないかと誘っている。
- 加藤珠江……立花の妾。原宿の家でいわゆる高級連れ込み宿を営んでいる。
- 一柳忠彦……兵庫県の民民党代議士。妻が3年前にヨットで遭難し、昭和35年の9月に政界のボス渥美俊政の娘繁子と再婚している。戦中派中支におり、根津の部隊にいた。
- 一柳勝子……忠彦と妻の洋子の間にできた娘。
- 戸田房子……京美の母親。立花隆治といい線まで行ったが梅子に邪魔され、別の男と結婚した。
- 白井直也……寿美子の兄で中学の教師をしている。京美が自殺未遂を犯したとされる怪文書のもう一通は、5月20日に直也のところに届いていた。
- 佐々照久……白井直也の友人でA新聞の学芸部にいる。白井直也から唯一怪文書の事を知らされた人物。
- 細田敏三……A新聞社の調査部にいる人物で日の出団地15号館に住んでいる。佐々から怪文書の調査の依頼を受けた。
- 細田アイ子……敏三の妻で水島画伯のところによく通っていた。
- 辻村あき子(謎の婦人)……10月10日の夜、根津伍市を訪ねてきた婦人。姫野三太はこの二人を目撃し、根津の別れた妻と勘違いしていたが勘違いではなかった。
- 金田一耕助……もじゃもじゃの髪の毛におかま帽、ご存知名探偵。
- 等々力警部……警視庁の警部。
- 山川警部補……所轄S(成城)署の捜査主任。
- 志村刑事……所轄S(成城)署の刑事。小柄ではしっこく、小取りまわりがきいて頭が鋭い。あだ名は小ザル。
- 保科医師……警察医。
- 三浦刑事……所轄S(成城)署の刑事
- 江馬刑事……所轄S(成城)署の刑事
- 本間刑事……所轄S(成城)署の刑事
- 宇津木慎策……毎朝新聞社社会部の記者で、金田一幸助の情報係。
- S・Y先生……小田急線のK台地に家をもつ小説家の先生。身体の調子が悪い。
- カピ……S・Y先生の愛犬。
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