吸血蛾
作品年代:昭和30年9月下旬〜昭和31年1月20日……年代は文代がパリへ留学していたのが1951年から1953年まで、一昨年に帰朝となっているから1955年。結末はある事件の日の後に新聞発表がなされていて、その晩の作業の後のため(言っている意味がわからない方は読んでください)。
作品場所:銀座・四谷・武蔵境・他、都内各所
作品粗筋:ファッション・デザイナーの浅茅文代は押しも押されぬ売れっ子のデザイナーであり、彼女を慕ってファッション・モデルの7人が『虹の会』を結成していた。ある日、文代のもとにかじりかけのリンゴがオオカミ男と称する者から届く。その意味を知っている文代は失神。さらにファッション・ショーの後にモデルの滝田加代子が拉致され殺害、マヌカンの箱の中に詰められ文代の元に届けられる。それはオオカミ男の殺戮が始まったことを意味していた。
依頼主:虹の会のモデル
成功報酬:肩代わりでもらっただろうが、小額だったのではないだろうか。
登場人物
- オオカミ男……恐怖に陥れる謎の男。
- 浅茅文代……パリ帰りの新進ファッション・デザイナーで毎年コンクールで金賞をとっている。自らもモデルとしてステージに立つ。
- 川瀬三吾……新東京日報社の文化部記者でファッション・ショーを担当している。
- 村越徹……ファッション・デザイナー浅茅文代の弟子で極めて女性っぽい男性。以前は日下田鶴子の弟子だった。
- 増山半造……文代が銀座で経営している服飾店『ブーケ』の支配人。
- 滝田加代子……ファッション・モデル。『虹の会』のメンバー。ステージ色は「スミレ」 会の中では一番美しいが、酔うと気が強くなる。第1の犠牲者で2人組に拉致される。
- 葛野多美子……ファッション・モデル。『虹の会』のメンバー。ステージ色は「藍」 第3の犠牲者。
- 赤松静江……ファッション・モデル。『虹の会』のメンバー。ステージ色は「青」 会の中では一番若い。
- 杉野弓子……ファッション・モデル。『虹の会』のメンバー。ステージ色は「黄」 次第に川瀬三吾といい仲になっていく。
- 有馬和子……ファッション・モデル。『虹の会』のメンバー。ステージ色は「緑」 第2の犠牲者
- 日高ユリ……ファッション・モデル。『虹の会』のメンバー。ステージ色は「橙」 徹がオオカミ男と『黒ネコ』で出会ったのを目撃していた。
- 志賀由紀子……ファッション・モデル。『虹の会』のメンバー。ステージ色は「赤」
- 長岡秀二……某大会社の重役で浅茅文代のパトロン。毎月10万円という高額を文代に渡している。
- 江藤俊作……武蔵境の別称『昆虫館』とあだ名される屋敷に住む白髪の老紳士。専門は絵描き。文代の出るファッション・ショーには必ず来くるマニアだが、文代の舞台では必ずケチをつけている。
- ムッシューQ……文代から10万円で何かを渡している謎の人物。
- 松崎女史……文代の四谷のアトリエで働く、度の強いメガネをかけた、四十がらみのデザイナー。美しくはないが、デザイナーとしては高く評価されている。
- 操……四谷の文代のアトリエの縫い子の一人。アトリエにおいてあった木箱に躓き発見する。
- 節子……操の隣の縫子。
- 河野……松崎と同じく、四谷のアトリエで働く裁断師。
- 日下田鶴子……文代が出てくるまでは一流デザイナーとして君臨していたが文代にとって代わられた。新橋で『アザミ』という服飾店を経営。
- 松田喜作……M・C商会の支配人。
- 片山敏子……M・C商会の支配人、松田喜作の秘書。
- 内海……M・C商会の発送主任。
- 鵜殿史郎……山の低いまゆつば帽にメガネを二重にかけた謎の男性。M・C商会にマヌカンの修理に訪れ、箱を差し替えた人物。
- 朝子……四谷の家に住む、文代の内弟子兼女中。
- 三橋絹子……『ミモザ』という服飾店を経営し、金田一耕助に助けてもらった(作品名『幽霊男』)というデザイナー。
- 栄子……『昆虫館』の江藤俊作の自宅にいる女中。
- ボートの客の一人と連れの女……浜離宮でボートに乗っていたアベック。偶然落ちてきた切断足を吊り上げて女は失神する。
- 給仕……新東京日報社の給仕。謎の男から川瀬宛の電話を取り次ぐ。
- 幕内主任……東亜劇場の幕内主任。「踊る足」を上演していた三竹亭小楽を捕まえる。
- 三竹亭小楽……操りの名人とうたわれた芸人のなれの果て。偽の幕内主任にだまされて「踊る足」を上演する。
- 伊吹徹三……文代がパリで知り合った画家。ある事情で日本にはいられなくなったらしい。さらにノルマンディーでオオカミに憑かれる。
- まあ坊……25、6の満月のような顔をした男。ヒロポン中毒患者。
- ヒロさん……ヒロポン中毒患者。まあ坊とコンビを組んでいる。
- マダム……双葉薬局の家内。
- 二号室の男、四号室の男とその家内……伊吹徹三のアパートの向かい部屋に住む
- 坂崎……双葉薬局とアパートを経営する。猿轡で手足を縛られて発見される。
- 杉山昌一……双葉薬局のアパート六号室に住むという男。
- 田沢京子……日下田鶴子デザインの衣装を着たモデル。
- 篠崎……鶴屋小劇場の奈落担当技師
- 管理人のおばさん……杉野弓子が済んでいるアパートの管理人。「おばさん」「おばあさん」「おかみ」と表記が変わっていくが実際には1人ではないかと思われる。
- 金田一耕助……名探偵。
- 等々力警部……警視庁の警部。
- 樋口警部補……四谷署の主任。
- 山口刑事……四谷署の刑事。小兵ながら精力的なタイプの刑事。本名、山口達雄。横溝作品で刑事の「名」まで表記されるのは珍しいことである。
- 村上刑事……双葉薬局経営のアパートに等々力警部と共にやってきた私服の刑事
- 山崎刑事……双葉薬局経営のアパートを捜索にきた私服の刑事。別方向の捜査からここにたどり着く。
- 佐藤刑事……双葉薬局経営のアパートを捜索にきた私服の刑事。別方向の捜査からここにたどり着く。
- 山村刑事……武蔵境の『昆虫館』の庭を掘り起こす刑事。
- 池田刑事……武蔵野署の刑事。
- 私服刑事……杉野弓子のアパートを監視していた刑事。
- 警官……武蔵野署所属の巡査。川瀬三吾に呼ばれ『昆虫館』まで出張ってきた警官。
銀座
丸の内
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