悪魔の寵児
作品年代:昭和33年6月18日〜昭和33年9月18日
作品場所:丸の内、日比谷、上野、吉祥寺、成城、経堂、赤坂、松濤、神田、小石川、水道橋
作品粗筋:情死を暗示する奇妙なあいさつ状から始まった連続猟奇殺人事件。無名の画家の石川宏と新興実業家の妻、風間美樹子との心中。そして風間欣吾を狙うがごとく次々と愛人が殺害されていく……。雨の日に犯行を重ねる「雨男」と金田一耕助の戦い。
依頼主:風間欣吾
成功報酬:相当の財産を成した依頼人なので多額と思われる。
登場人物
- 風間欣吾……戦後の新興実業家。もともと職業軍人で昭和22年、五藤伯爵の一人娘美樹子とのスキャンダルで有名になった。終戦時のどさくさまぎれに軍の物資を横領して産をなしたとの説もある。中学時代、五藤伯爵の書生をしていた。実際辣腕家でどんなボロ会社でも風間欣吾が手を染めると息を吹き返すなどといわれている。事業だけでなく漁色においても旺盛だった。風間産業社長。
- 水上三太……昭和28年入社の東都日報の文化部記者。西銀座の『カステロ』の常連で、金田一耕助とは別に事件を調査し始める。学生時代はバレーボールの選手だった。事件途中から『カステロ』の早苗に恋心を抱く。
- 雨男……雨の降る日に殺人を犯す犯人。全身レインコートで足はゴム長靴をはいている。さらに防寒用のフードで鼻から下も隠している。
- 城妙子……風間欣吾の第一の愛人で西銀座のバー『カステロ』のマダム。通称銀座のマダム。風間欣吾は大株主の赤坂Qホテルの一室で有馬忠弘とともに死体で発見される。死因は扼殺。
- 保坂君代……風間欣吾の第二の愛人で渋谷の美容院『ブーケ・ダムール(愛の花束)』を経営している。通称渋谷のマダム。将来は東京各所にブーケ美容院のチェーンを持ちたいという野心をもっている。丸の内店開店前日、得意先の結婚式の着付けで出張しその後行方不明。開店式典で風間欣吾の?人形とともに死体となって発見される。死因は絞殺、モヒ系の薬で注射された後締め殺された。
- 宮武益枝……風間欣吾の第三の愛人で池袋の洋裁店『からたち』を経営している。通称池袋のマダム。成城の廃虚のようなアトリエで黒田亀吉とともに死体で発見される。死因は絞殺。
- 風間美樹子……五藤伯爵の一人娘で、元華族の有島子爵、忠弘の妻。忠弘とは離婚し風間欣吾と再婚した。6月28日に歌舞伎座の観劇直後から行方が分からなくなり、翌日の未明石川宏宅で心中。死亡したと一旦は見られるが、その後行方不明。生死不明。
- 湯浅朱美……ミュージカルの女王と騒がれている歌姫。風間欣吾とは隠れた愛人関係を結んでいる、第四の愛人。現在有島忠弘の妻。本名:山本ウメ子。
- 石川宏……無名な画家で、妹早苗の収入で生活を立て画業に専念している。昭和33年4月から5月にかけて、城妙子の勧めで美樹子の肖像画の描いていたが、謎のハガキの通り、偽装心中に巻き込まれる。モヒ系の強い睡眠剤を注射させられており、中枢が犯されてしまった。診断名:偶発性精神分裂症に起因する突発的自己喪失性。
- 石川早苗……昭和32年の秋から『カステロ』のホステスとして働いている。25歳。
- 望月種子……A級戦犯望月巌太郎大将が女中に生ませた娘で、元風間欣吾の妻だった。現在上野のロウ人形館を経営しながら、トランプ占いなどで人気を博している。黒田亀吉の死亡で発狂し、その後何者かに毒殺される。
- 黒田亀吉……戦前から戦後にかけて、通称「黒亀」で名が通っていた生き人形づくりの名人。以前は浅草馬道で人形工房を開いており、妻子も弟子もあったが、その性格の変態性から望月種子にのぼせあがり、今は望月種子の忠実な伴侶となっている。マゾヒスト。雨男の依頼で風間欣吾の?人形と保坂君代の?人形を製作する。成城の廃虚のようなアトリエで宮武益枝と共に死体で発見される。背後から鋭い凶器でえぐられていた。
- 有島忠弘……元華族の有島家当主。元妻の美樹子をスキャンダルにつけいって風間欣吾に邸宅とともに売りつけた過去を持つ。美樹子が行方不明になった時分はブタ箱に入っていた。湯浅朱美の亭主で別居中。
- 夏子……『カステロ』のホステス
- 由紀子……『カステロ』のホステス
- お京……『カステロ』のホステス
- 上田敏子……保坂君代の弟子。君代と一緒に明治記念館の結婚式の着付けに出向いていた。君代が明治記念館で手紙を受け取りその後出ていったことを証言。
- 南貞子……保坂君代の伯母。
- 及川澄子……風間欣吾が望月種子と結婚する以前に付き合っていた女。
- 白崎信吾……赤坂のQホテルに9月8日から11日まで宿泊していたと思われる謎の男。もちろん偽名。
- 石川亘……石川宏と早苗の父親。
- 石川房子……石川亘の妻。
- 秋月澄子……保坂君代の得意先で明治記念館で7月24日に結婚式をあげた。着付けは保坂君代が行った。
- 掘尾謙吉……秋月澄子の結婚相手。
- 郷田先生……風間家のかかりつけの医師で、美樹子が娘時分から診てもらっていた医者
- 緒方博士……石川宏の容体を初めて見た経堂の医者。
- 加藤重吉……さる大会社の重役。石川早苗と宏の大家だが、戦後パージで病床に臥している。
- 白崎……風間邸の運転手。
- 酒井……西銀座『カステロ』のバーテンダー。
- 安藤文化部長……東都日報の文化部部長。
- 古垣博士……石川宏を精神鑑定した。R大学附属病院の医師。
- 運転手……石川兄妹をR大学附属病院から脱出させ、護送しようとしたもう1台の車の運転手。金田一耕助と等々力警部を載せる予定だったがエンジンを壊されてしまっていた。
- 川崎もと子……風間欣吾が雇っていた石川宏の付き添い女。
- 河合善太……石川兄妹を神田のR大学附属病院から芝の自宅まで運ぶはずだった運転手で、雨男によって後頭部に一撃をくらう。
- 看護婦……R大学附属病院の望月種子担当看護婦。
- 前田博士……R大学の法医学の権威者。ゴム風船に目鼻をつけたような童顔で肥満型。金田一耕助とは熟知の中(どの作品なのかは不明)。
- 金田一耕助……名探偵。
- 等々力警部……警視庁の警部。。
- 坂崎警部補……丸の内警察署の捜査主任。
- 橘警部補……上野警察署の捜査主任。
- 田所警部補……赤坂警察署の捜査主任。
- 新井刑事……警視庁の刑事。
- 西井刑事……警視庁の刑事。
- 山本刑事……丸の内警察署の刑事。
- 中西刑事……上野警察署の刑事。
- 上村刑事……望月ロウ人形館の情報を水上三太に話した上野署の老刑事。
- 五島医師……保坂君代を検屍した警察医。
吉祥寺
丸の内・日比谷・西銀座
芝公園
芝白金(三田)
経堂
上野
明治記念館
神田
新宿
成城
小石川小日向台町
水道橋
赤坂
松濤