蝶々殺人事件
作品年代:昭和12年10月18日〜昭和12年10月23日
作品場所:大阪中之島公会堂、福島町、愛宕下ほか
作品粗筋:大阪のオペラ講演の直前、劇団主宰のソプラノ歌手原さくらが、全裸の死体で発見された。死体はコントラバスケースの中にバラの花弁とともに入っていた。不審な自動車がコントラバスケースを楽屋口においていったとの情報があり、大阪市内に犯行現場らしき場所が発見される。しかし、東京でも不審な犯行現場が発見された。一体さくらはどちらで殺されたのか……
依頼主:原聡一郎
成功報酬:財界巨頭の御曹司なので、麟太郎が要らないと言っても高額な報酬が出たと思われる。
登場人物
- 原さくら……原さくら歌劇団の主宰で、トップスターのオペラ歌手。47歳。19日の午前10時発の汽車で大阪に向かったことになっているが、その後誰もきちんと姿を見たものは無く、大阪講演の当日、搬送されたコントラバスの中で全裸の絞殺死体として発見される。推定死亡日時は19日の午後9時から11時30分までの間。本名・江口清子。
- 原聡一郎……原さくらの亭主。財界巨頭の御曹司で実業家。
- 土屋恭三……原さくらのマネージャー。帝劇歌劇部一期生で、以前は浅草オペラでは人気歌手で鳴らしたが、浅草オペラの凋落とともにマネージャー業に転向。事件の前半を日記に記した人物で、18日の晩の夜汽車で東京を発った。
- 相良千恵子……原さくらの弟子で、歌劇団ではアルトを担当し、さくらより人気があった。大阪の天下茶屋出身。19日の午前10時の汽車でさくらとともに大阪に向かったとされている。以前は『椿姫』のアルフレッド・ジェルモン役をやったことがある。
- 小野竜彦……歌劇団では一番の美男で美声、テナー担当。日本橋の有名な老舗呉服店「べに屋」の次男。一回だけ清風荘をさくらと訪れたことがある。
- 志賀笛人……歌劇団ではバリトンを担当。神戸(三ノ宮)に私用があるため18日に土屋と同じ夜汽車で発つ。さくらに報われぬ恋心を抱いているといわれている。20日の朝にさくらから梅田発の電報を受け取り、箕面の滝まで出かける。
- 牧野謙三……さくらの喧嘩友達で殆ど専属といってもいい指揮者。
- 雨宮順平……土屋恭三の助手。26〜27歳。19日発の大阪行きで歌劇団の一行を連れてきた。少々頼りない。さくらが殺害されてから3日後に絞殺される。
- 川田……牧野謙三の弟子二人のうちの一人で、コントラバス担当。この2人の弟子だけが大阪講演にも随伴しているが、このコントラバスがリハーサル直前まで見当たらなかったため事件が発覚する。
- 蓮見……牧野謙三の弟子二人のうちの一人で、トロンボーン担当。雨宮殺害事件で大事なトロンボーンを壊される。
- 合唱団の女性二人……大阪講演当日の午後2時10分前に不審な人物2人組がフォード・セダンからコントラバスケースを下ろすのを見たと証言した人物。
- 藤本章二……『ちまたに雨が降るごとく』で売り出した流行歌手で、昭和12年の5月に迷宮入りしている殺人事件の被害者。読めない楽譜が暗号に使われたとされている。藤本は志賀笛人の弟子。
- 耳の遠い老婢……藤本章二の家事手伝いのばあや
- 橋場亀吉……さくらの入ったコントラバスケースを中之島公会堂の楽屋口に運んだフォード・セダンの運転手。
- 阪本銀造……同じくフォード・セダンでコントラバスケースを運んだ助手。
- 謎の男……コントラバスケースを中之島公会堂の楽屋口に運ぶように指示した男。黒っぽいソフト帽をかぶり、大きな黒眼鏡をし、黒っぽい外套を着ていた。福島のとあるアパート前で乗車し、桜橋で降りている。
- 宮原夫人……殺害現場とされていた曙アパートの一室の隣人で、さくらが殺害されたとされる凶器の一つ「砂嚢」が20日か21日に盗まれたと証言する。
- 河辺康夫……20日の午前11時ころ、黒眼鏡でマスクの謎の男を三越から曙アパートまで乗せ、やけに重いトランクを一室まで運んだ自動車の運転手。
- 佐伯淳吉……洋画家で神戸からフランスに行く途中、船上で服毒自殺を遂げる。某有名婦人との不倫を精算しようとしていたとの噂があった。19日の晩発の汽車で神戸に向かっている。
- 手荷物預かり所の男……東京駅の手荷物預かり所の男。19日の晩に当番だった。
- 管理人……愛宕下アパート清風荘の管理人。
- 川口夫人……清風荘でさくらの借りていた部屋の向かいに住む住人で原清子をさくらと見破った人物。
- 若い男……さくらとともに清風荘で逢引きをしていたとされる謎の男。ソフト帽をかぶり、青めがねをかけている。23日の検証時にも実在していた。
- 見張っていた男……さくらと小野が清風荘にいた時に除いていた謎の男。
- O博士……慶応大学病院の医師。さくらの身体の障害を聡一郎以外に唯一知っている人物。
- 旧友S……大阪の新聞社につとめている土屋恭三の友人。19日の夕方から土屋と北新地で飲み明け暮れた。
- 由利麟太郎……警視庁に奉職していた元名捜査課長。現在、探偵業。
- 三津木俊介……新東京日報社の社会部花形記者。戦後、事件の整理かたがた、本を出版することになって『蝶々殺人事件』を取り上げようとする。
- 浅原警部……大阪での事件担当主任。
- 等々力警部……東京での事件担当主任。
- 木村刑事……担当刑事。相良の指紋のついた紙を持っていった刑事で、東京まで出張する。
- 安井刑事……担当刑事。
- 田辺……新東京日報社の社会部編集長。
- 島津……新東京日報大阪支社の記者で「蝶々殺人事件」を担当している。
- 五井……新東京日報社の記者。愛宕下アパートを担当。
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